全国ニュース 第79号(福岡シンポ報告等)

福岡過労死を考える家族の会より全国の家族会へ報告した内容です。

去る2019年11月22日、福岡市JR博多シティ会議室において今年のシンポジウムが行われ、約90名の参加がありました。

基調講演は津野香奈美さん(神奈川県立保健福祉大学大学院ヘルスイノベーション研究科講師)から『パワハラ関連法案と今後のパワハラ防止対策』というテーマでお話いただきました。

津野さんは職場でのパワハラが企業に及ぼす影響について、年間1兆8562億円程度の経済的損失をもたらすというイギリスの統計・試算を交え、いかにパワハラが人を傷つけるだけでなく、社会全体にとって損失となるかを説明いただきました
(単純な比較はできませんが、2016年の労働力人口はイギリスが約3327万人、日本が6673万人ですから、日本での損失額は3兆7230億円になります。)。


また、津野さんは、国が示す『パワハラ』の定義、裁判所で認定される『パワハラ』がパワハラの中でも一部の酷いパワハラに偏っていることやねちねちと嫌味を言い続けるようなパワハラは裁判では『パワハラ』と認定されない現実があるとの指摘に対し、「国の定義に当てはまらないパワハラもある。大切なのは職場で人を傷つける行為を無くすこと」と述べられました。この言葉は非常に共感しましたし、この考え方をもっともっと広めなければと思いました。

家族の体験発表では、民間企業・労災事案について息子さんを長時間労働とパワハラによって亡くされたお母様からの訴えと工藤祥子さん(神奈川家族会)から教師の働き方の問題についてお話していただきました。
参加者はご家族の話に真摯に耳を傾けていました。

毎年感じることですが、ご家族のお話には参加者の皆がこの問題にきちんと向き合わなければならないと思わせられる説得力があると感じます。

今年の福岡会場のシンポジウム内容は以上のとおりです。

とても内容も濃く、意義深いシンポジウムになったと思います。
さて、シンポジウム関連ではありませんが、福岡から一つご報告があります。

2019年12月7日に家族会総会を実施した際、安德晴美さんが代表に就任していただくことになりました。報告の最後として安徳さんのご挨拶をご紹介いたします。

皆さまにご報告申し上げます。12月7日、福岡過労死を考える家族の会の総会にてご承認いただき福岡の代表をさせていただくこととなりました。安德晴美です。
当日ご遺族3名が来られました。この会と繋がりを持ちたいと期待をこめて総会へ足を運ばれたそんな方々のお気持ちに背中を押されました。自分が代表となり、過労で倒れた被災本人とそのご遺族が孤立しないように寄り添い共に支え合い、励まし合って連帯の輪を広げていくことをしたい。ご遺族の方々にその思いを確かなものにしていただきました。
今後ともよろしくお願いいたします。

弁護士 八木大和(よつば法律事務所)

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