2020年10月28日 西南女学院大学で啓発授業を行いました。
西南女学院大学での啓発授業は、去年に続き2回目となります。昨年同様、夫を過労死で亡くした過労死遺族として、どのようにして夫は過労となっていったか、そしてその経験の中で私が感じたことをお話させていただきました。
学生さんには私から8つのことを特にお願いしました。
- 将来「死ぬために仕事をする。」のではなく、「生きることを楽しむ仕事」をして欲しい。
- 自分たちが守られている労働基準法、労働安全衛生法など本来守らなければ罰せられるたくさんの権利を学習して社会人になって欲しい。
- ご自身でも携帯や手帳に労働記録をととり客観的に自分の労働時間を見返すこと。
- 働いていて心が疲れた時は、家族や友だち、恩師、私たち家族の会、過労死110番、弁護士などあなたの周りにいる人に辛い胸の内を話すこと。
- この先どんな職業につこうとも、自分の体のSOSを受けとったらまず休むこと。寝ること。
- 仕事の代わりはいてもあなたの変わりはいないこと。あなた方一人一人はご家族の宝。この国の宝であること。
- またいつもと違う疲れきった様子の同僚、家族をみかけたら声をかけること。
そのことで助かる命があること。
- 過労死は他人事でない。劣悪な職場においこまれたら誰にでも起こること。
命より大事な仕事はないということ。
授業後、学生さん達は感想用紙にたくさんの思いを書いてくださっていました(下記でその一部をご紹介します。)。
今回も心に届く授業であったと嬉しく思いました。これからも働きすぎにより若い命が奪われることがないよう、過労死防止等に繋がる啓発授業を続けていこうと思いました。
福岡過労死を考える家族の会 代表 安德 晴美
※以下では、2019年度に同じ西南女学院大学の学生さんに授業をした後のアンケートですが、学生さんたちの授業後の感想を抜粋しております。
若い世代に、過労死の実態や仕事で命を失ってはならないことを実感していただけたと思います。
2019年西南女学院大学 啓発授業アンケート
家族の話について
- ご家族の方から直接話しを聞いたことで過労死等の恐ろしさを実感しました。奥さんは夫が突然亡くなったあと、とてもつらくその職場への怒りや悔しさがあったのではないかと心が痛くなりました。
- 普段の授業ではなかなか聞くことができない話を聞けてとてもよかったです。過労死なんてあってはいけないことだと、とても強く思いました。
- どんなに健康な人でも1日の労働時間が守られていないと心身ともに疲れ切ってしまい自殺や過労死をしてしまうことが分かりました。今日学んだことを今後働くときに生かしていきたいと思いました。
- ご家族の方の夫が、働きすぎにより亡くなられたと聞き、胸が苦しくなりました。誰かの為に働くということも大切ですが、第一に自分のことを考え、休むという選択も大切だと知りました。もし、近くに悩んでいる人がいたら手を差しのべてあげたいです。
- ご家族の方の話を聞いた後、いつもハードスケジュールの彼氏と過労死や残業について話し合いをしました。そして二人とも仕事も大事だけど自分の心や体、命を大切にしようねという話をしました。今回、このような貴重な話が聞けてとてもよかったなと思います。
弁護士からの労働問題に関する授業について
- 労働基準法を知っているつもりでいたけど意外と間違って覚えていたことが結構あったので、知ることができて良かったです。
- 過労死の怖さを痛感しました。日本の社会は労働について少し厳しすぎると思います。外国では定時退社は当たり前の所も多いのに、日本では定時で帰る人に対する視線が痛いのではないかと考えます。こうしたことが無くなって過労死する人がなくなったらいいなと思います。
- 情報や知識を持っているのと持っていないのでは、大きな差があるのだと強く感じました。これから就職するうえでは他人事ではないので、気を付けようと思いました。
- いままで労働基準法など詳しく知らなかったこともあり、あまり気にしたことがなかったが、実際あった過労死のお話を聞き、自分だけでなく、家族のためにもしっかり理解していく必要があると思った。
以上