労働者の権利が尊重される社会を目指して


福岡で過労死問題・労働事件へ取り組んでおります弁護士の梶原と申します。

私たちはみんな,一人の人間として尊重されたいと思っていますし,
また人間らしく活き活きと働き,活き活きと生活したいと思っています。

労働者一人ひとりは,常に尊重されなければなりません。

私たちは,社会において個人として承認され尊重されなければ,「個人の尊厳」を維持できません。
また,この民主主義社会がまともに機能していくためにも,労働者一人ひとりが,個人として尊重されることは絶対に欠かすことができません。
そして,労働者とその家族が「尊厳」をもって生きていくためにも,社会が健全に発展していくためにも,労働者が,人間らしく働けること,「品位ある労働」(decent work)が出来ること,が極めて重要であることはいうまでもありません。

労働者の尊厳を守るために,そして人間らしく働くことを可能にしていくために,「労働者の権利」は欠かすことのできない重要な権利です。

私は労働事件に携わってきた弁護士として,この日本において労働者の権利が本当に尊重され,そして労働者一人ひとりが常に尊重されて行けば,日本は,もっともっと素晴らしい社会になると思いますし,是非そのような社会になってほしいと強く思っています。
ところが,今の日本においては,労働者の権利が十分に守られていない実態が広く存しています。そして,残念ながら,その中において,過労死・過労自殺が多く生じています。

過労死問題の取り組みが始まってからおよそ30年以上を経ていますが,未だに過労死・過労自死事案が後を絶たない状況です。

日本社会において長時間・過重労働の実態が一向に改善されていないことが反映してのことと考えられます。
最近では,職場におけるメンタルヘルスの不全が大きな問題となっており,日常の法律相談や事件活動でもメンタルヘルスに関連する事案が増えているというのが多くの労働弁護士の実感といえます。

労災行政の状況をみると,厚生労働省の認定基準の見直し等少しずつ改善されてきた点もありますが,長時間労働が認められなければほとんど業務上災害と認定されず,業務の質的過重性が軽視されるという点に端的に示される通り,未だ過労死・過労自殺の実態に即した労災認定行政の運営にはなっていないと言わざるを得ない状況です。

私が活動している福岡の地においても,地道に過労死・過労自殺問題への取組が継続されており,個別的には労災認定や損害賠償において一定の成果が積み重ねられています。しかし,過労死・過労自殺問題の取り組みは,今後更に追及・努力すべき諸点が存する状況です。

そのような中で,九州においても過労死家族の会が立ち上げられ,そしてこのホームページが開設されました。
このホームページを通じて,今後多くの人々が交流を広げ,過労死問題の根本的なところからの解決を模索し,実践していくことができれば大きな意味があると思います。
一人でも多くの方がこのホームページを訪れていただくことを心より願っています。

弁護士 梶原恒夫(福岡第一法律事務所)

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