With コロナの世界で考える教員の働き方ー過労死遺族の立場から

緊急事態宣言が解除になったとはいえ、全国どこも気の休まらない日々です。
福岡県では5月に北九州市の学校内でクラスターが発生し、特に心配です。
しかし学校を再開すればどこでも起こりうることだと思います。

子どもたち、保護者の方々にとっても、2月の急な一斉休校から半年近く、日常生活の多くで制限がありました。
人とのコミュニケーションも十分には取れず、ストレスが増していることでしょう。
子どもたちの心の疲れからの問題行動も今後増えることが懸念されます。

労働環境の悪化も深刻です。
賃金の未払いや不当解雇、倒産など、連日の報道に胸が痛みます。
コロナ禍で世の中が働く人に対してよりいっそう過酷になり、
私はただただ過労死・自死が起こることがないようにと危惧しています。

私は、教員だった夫を過労死で亡くした者として、現在の教育現場の現在、今後に目が離せません。

友人の現役教師から悲痛な叫びも届きます。
「(消毒用の)アルコールも教育委員会からは支給されず学校で何とかしろ、という感じ…
ウチはすでに底をつきつつあり、アルコールジェルを学校予算で購入しました。
来週届く予定です。」

「非接触型の体温計は、どこも学校予算で購入しています。
うちは、PTA予算で各学級分購入しました。
毎朝の校舎外での検温等健康チェックなど、とにかく人手が足りない。」

北九州市の小・中学校では6月5~18日までの期間、給食なしの分散登校になりました。

ただし、共働きなど家庭で過ごすことが難しい児童には午前中の間、学校で教員による「預かり」をします。放課後児童クラブに通っている児童は弁当持参のうえ、開所時間まで。

「休校や午前授業にしても、家庭の事情でのお預かり児童が相当数あります。
その子たちには、学習を進めるな、三密防げ、お弁当持たせて学童まで預かれ…と、
まるで、学校にもう一つ保育所を作ったかのような状態です。
人手もさらにいるし、教職員への感染リスクも高まるし…
実は、ウチの職場では、全校児童の一割五分以上の預かり児童がいて、ここが1番困ってます。」

そもそも以前から教員は「子どもたちのため」という言葉にすり替えられてオーバーワークを強いられてきました。
このコロナ禍ではそれに加え、更なる仕事が加わります。

安全確保について
・ 何事も手探りで何をして良くて、何がダメなのか?方針がわかりづらい。現場に丸投げが多い。
・ 十分な予算措置がなく、教員各々のマスク、消毒も自分準備。共有する消毒も数が足りない。
・ 無症状児童の見分けなどそもそも難しい。
・ 給食配膳時など配慮に限界がある。安全性確保が厳しい。
・ 教室内の消毒作業だけで、大半の時間を費やす。

学習について
・ 遅れた学習を取り戻すすべを立てても、ことごとく二転三転。会議だけ増える。
・ 夏場の熱中症の心配。
・ 体育、音楽、他評価基準はどうするのか?
・ 小学校低学年のオンライン授業は成立するのか?
・ オンライン授業での保護者の負担は?

児童の命を守るということがとにかく最優先され、様々な手探りの試みが導入されています。教員各々の精神的なストレスは察するに余りあります。

夫は過重な職務、過度なストレスから脳疾患を起こし倒れ、亡くなりました。
教員も人間です。子どもたちの命と同様に、教員の命も守られるべきです。
教員の働き方についてもっと議論がなされるべきなのに
現場の教員からは、今それが感じられていない。
そのことがとても問題であると思います。
このままでは、また悲しみが繰り返されるのではと危惧してしまいます。

過労死遺族として「With コロナの世界で考えた」午後でした。

安徳晴美

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